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人にしかできないもの

 慌ただしく毎日を過ごしているうちに、4月になってしまいました。先週一杯桜が満開になり、大変美しい花を堪能できました。引越しして最初の春ですが、椿、梅に始まり、こぶしの花、木蓮、白漣、れんぎょう、ひがんざくら。ソメイヨシノ、枝垂れ桜、と周囲にたくさんの花を見てうぐいすの声をきいて、なんとも癒される思いをしています。もう少ししたら、ハナミズキの出番ですね、新緑と共に。

 「オリガ・モリソヴナの反語法」米原万里著 を読みました。夫に面白いよとすすめられて、やや厚めの文庫本を手に取って、あっという間に読み終えてしまいました。
 大変おもしろかったのです。タイトルの女性の一生を大人になった教え子女子達が解きほぐしていくさまは、推理小説のような体裁をとり、そこに旧ソ連のスターリンによる恐怖政治が絡まってきて、粛清の的になった主に知識人、文化人と呼ばれる人々の捕まってから収容所での生活がとても子細に描かれていて恐ろしいとしか言いようのないものなのですが、残酷な理不尽な大きな力の前で、一個人の思いや事情など本当になんの意味も力も持たないのだな、と改めて思いました。嫌なことです。とっても。

 著者の米原万里さんはもう他界していますが、少女時代に父親の仕事の関係で(共産党の方だったとか)チェコのプラハのソビエト学校に4〜5年在籍していたことがあるらしく、タイトルの女性教師も実在した人物(小説内容はフィクション)というだけあって、学校生活におけるその女性教師や子供たちの描写は手に取るようにいきいきとしていました。
 
 そして、私が強く印象に残っているのは、隔離されて家畜以下のような扱いを受けている収容所での描写です。何も情報がはいってこない、毎日が恐ろしく単調で絶えず空腹で、眠る場所さえ確保するのが難しいような収容所の中で、捕まるまでは、女優だったり、教師だったり、音楽家だったり、その他の専門的な仕事についていた人達が自らの記憶を頼りに本の朗読をしたり、芝居をしたり、歌ったりし始めて、皆眠る前にそれを楽しみにするようになり、相変わらずの重労働と空腹にもかかわらず、女たちの肌の色艶までよくなっていった、というあたりでしょうか。私はこの描写に人が人である所以をみた思いがします。芸術や学問は人間にしかできないことです。
 自分がとんでもなく億万長者だったらなにをしたいか、という話になると、常々芸術家や学者のパトロンになってみたいものだと思っているので、収容所でのくだりには深く共感したのでした。ロスチャイルド家のパノニカ嬢のように、才能ある人の庇護者になってみたいというのは、私の夢の一つです。相当突拍子もなく、自分がジャズミュージシャンになってライブをするよりも全く実現する可能性のない夢ですけれど。
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