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しりあがり寿 回・転・展

練馬区立美術館にて、しりあがり寿「回・転・展」を観ました。
しりあがり氏の漫画はとんでもなく想像の範疇を超えた唖然とさせられるものが多いと思うのですが、その世界の一部が立体化して目の前に現れた感じでした。
ともかくあらゆるものを回転させてみよう、ただのやかんでも回転すれば芸術作品ー回っている間は役に立たないから純粋だから芸術なんだーとか言うふうに、なんだか芸術を斜めから強烈に皮肉っているかんじで、何を考えているんだろうこの人、頭の中どうなっているのかしら、とやはり唖然とさせられました。
現代美術なんだ、と言われたらそうかもしれませんが、ジャンルを軽く飛びこえてしりあがりワールドにどっぷり浸かってしまい、観終わった時には強烈すぎて胃がもたれているような感覚になりました。
回転ものの他には生原稿や墨絵の展示があり、漫画家の生原稿に目がない私にはとても面白いものでした。
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失踪日記2

 台風ばかりに悩まされた10月が終わって、ようやく秋らしい清々しく晴れ渡った天気とともに11月がやって来ました。あまり足早に寒い冬にならないで、このまましばらく続いて欲しいと願うばかりです。と言いつつもうガスストーブも出してしまっていますが。

 吾妻ひでお「失踪日記2 アル中病棟」を読みました。
 
 吾妻さんについてはまるで知らなかった状態から、夫が好きで持っていた昔の不条理系の漫画を何冊か読んで、なんとシュールな表現をする漫画家なんだろうと思いました。が、記憶をたどると幼稚園か小学校低学年ころに雑誌に連載されていた「二人と五人」を目にしたことがあって、ああそうだ確かにちょっとエロチックでキューティーハニー並に読んでいると怒られるんじゃないかなとドキドキしたことを思い出しました。
 どうも消息がわからないらしいよ、なんて聞いているうちに「失踪日記」が刊行され、そこに繰り広げられる漫画家という職業の厳しさと、ホームレスの未知な世界に吸い込まれるように何度も読み返していました。重い体験を漫画らしいユーモラスな絵柄で表現し、作品として昇華させる技量はさすがプロの漫画家、才能のある人だと感心したものでした。
 「アル中病棟」もその作風で引き続き、という感じなのですが、さらにもっと詳しいルポルタージュとしても読み応えがある作品になっていると思います。潜入ルポとか体験ルポなどという生易しいものではなく正真正銘アルコール依存症患者による病棟内の描写はなかなか読み応えがありました。
 自身が患者でありながら、よくこれだけの事を覚えていた、と言う事とともに、病棟から散歩に出た先で拾ったネジやどんぐりでオブジェを作る事に熱中したりしたと言うあたりを読むと、この人は芯からものを創る人なのだなぁと思いました。ものを創ることで悩み苦しむけれど、ものを創ることで救われている。芸術家です。
 病棟仲間の一人ひとりのキャラクターの濃さ、依存症に陥るまでになったそれぞれの人生の重みがユーモラスな絵の後ろに見え隠れして、やはり何度も読み返してしまいそうです。既に言われていることですが、ラストの4ページの表現は秀逸だと私も思いました。
 後日談の漫画で退院して一年後、どうしても耐え難く飲酒願望が出てお酒を買ってしまったこと、一本目はその場で捨てて、再び買ってしまったお酒を自宅に持ち帰ったけれど、ずっとそれを睨みながら飲酒欲求と戦い、気がついた時には両頬の内側から血が出ていた、という事がさりげなく描かれていましたが、もの凄い意志の力を感じました。私の今の自宅は吾妻氏宅と近くて、何度かご本人をお見かけしているだけに、なかなか胸に迫るものがあるエピソードです。

小鳥の巣

 「小鳥の巣」は、萩尾望都の名作「ポーの一族」の中の一篇、ギムナジウムものです。代表作の一つである「トーマの心臓」、『トーマ〜」のもとになった「11月のギムナジウム」とともに、ヘルマン・ヘッセの影響が色濃く見られる作品です。
 ギムナジウムものというと、今でいうBL系のイメージになってしまいそうですが、BLという単純な枠でとらえられない、ずっしりとした厚みのある作品です。
 最近大津のいじめ事件の報道を目にするたび(今はオリンピック一色ですが)、少年が飛び降りるほど苦しくて、孤独だったんだと、胸が締め付けられる思いをしましたが、飛び降りる少年、というと、この作品を思い出してしまいました。
 必ずしもいじめがテーマではありませんが、少年たちがそれぞれ抱えている事情、苦悩、孤独が見事に描かれています。それにしても、20代前半でこんな作品を発表した萩尾望都というのは、漫画家としての才能もさることながら、強靭な知性の持ち主だと改めて感じました。

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